その7

鰻の一生

 

 一口に鰻と言ってもいろいろな種類があり、全世界で18種類確認されています。
 
普通鰻屋がお客様にお出しする鰻は、日本鰻(アンギラ・ジャポニカ種)と言い、中国沿岸から台湾・
韓国・日本の日本海側・太平洋側では利根川周辺までの河川に多く分布しています。
 
1996~7年頃この鰻の稚魚が大変高騰して新聞紙上を賑わせました。
その対策として最近よく見かけるようになったのがフランス鰻(アンギラ・アンギラ種)です。
この鰻はヨーロッパの河川に多く分布し、日本鰻に比べて胴長短足(人間と逆のようです。)で、
関東風に半分に切ると何となくバランスが悪いので、通常は長焼(半分に切らず長いまま焼く焼き方で、
本来関東では鰻が小さい場合に2本または3本まとめて焼く焼き方。)の状態で売られています。
フランス鰻は10年以上前から輸入されてきましたが、ここ数年中国での養殖が増え、スーパーなど
ではかなり多く売られるようになっています。
一度とっくりと眺めてみて下さい。
 
 さて、日本鰻はどの様な一生を過ごすのでしょうか?  
マリアナ海溝の近くで産卵・孵化された鰻の稚魚(レプトケファルス)は北赤道海流に乗り、台湾付近で
黒潮に乗り換えて中国・台湾・韓国・日本の河川にのぼってきます。
このころには体長5~6㎝ほどになりシラスと呼ばれます。
養殖業者はこのシラス鰻を捕獲して育てるため、12月から4月上旬までの新月の夜に、河口で捕獲の
漁が盛んに行われます。
 
この窮地を乗り切った鰻は、上流へ住処となる場所を求めてのぼって行きます。
この遡航力は大変な力で、ダムをのぼったり、陸に上がり田畑を突っ切ったりするとも言われています。
このころ体長は6~15㎝で全身が黒くなりクロコと呼ばれるようになります。
成魚になるためには最低2~3年かかり、寒い地域では冬はドロの中で冬眠します。
 
餌としては虫、小魚、川海老などを貪欲に何でも食べます。今までの記録では50年生きた鰻が存在
したと言われますが、普通8年くらいまでに成熟し、秋口に産卵のため絶食して川を下っていきます。
このころ大きい物は体長1m以上体重1.5㎏以上にもなり、下り鰻と言われます。
 
川から海に出た親鰻は黒潮から小笠原海流に乗って、生まれ故郷のマリアナ沖にやってきます。
そこで産卵をして一生を終えます。従来は海溝の深い部分で産卵すると考えられてきましたが、現在では
産卵場はグアム島沖東経142度付近の海底4000mから水深16mにそびえ立つ海山(島にならない
海底の突起)付近と考えられており、1998年には東京大学の調査船が潜水艇で調査しましたが、
完全に解明は出来ませんでした。
また孵化する時期は5~6月の新月の晩と考えられており、今後の調査結果が楽しみです。
 
鰻の研究は徐々に進み、研究室で人工孵化に成功しましたが、孵化したレプトケファルスの餌が何か
判らず、商業化の目途は全くなく、自然の摂理に人間が手助けをしているだけなので、海洋汚染の防止や、
シラス鰻の乱獲防止が業界内で叫ばれていますが、未だ有効な対策が行われていないのが現状です。


 
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